エロ・グロ・ナンセンス絵巻、「地下幻燈劇画少女椿」の数奇な運命、僕らがみどりちゃんに会えない理由
最近になってようやく「サマー 姉 詩集」などで検索してくる人が増えてきた。
今月詩集が書籍化ってことで、認知度高まっているね。
独りになった途端気持ちが塞ぐのだが、そんなことだらだら考えても仕方ないので本読んで自己耽溺する。
本屋行くと気持ちが落ち着いたからよかったなぁ。
(少女恋の美學・展)
24日に地下幻燈劇画少女椿放映予定。
世間では、神生誕の呪われた前夜。ひとりで行くのもあれだけど、イヴって人誘いづれーしな。
とか思っていたらいつの間にか、「地下幻燈劇画少女椿」が全編アップされていた。
8月に、この作品一部がアップされていたときに書いた過去エントリを転載。
冒頭ごく一部だけども、忠実でなかなか素晴らしい出来。
でも丸尾の絵がほぼ原画の通り動いているのに少し違和感がなくもないなぁ。
でも続き見たい。
と思い、このアニメがないもか調べているとどうも話はそう単純なものではないみたい。
そもそも、この「少女椿」と言う作品は、昭和初期に街頭で演じられていた紙芝居が元ネタで、それを元に丸尾が自分なりの脚色を加えたエロ・グロ・ナンセンス絵巻。とまぁここまでは、ちょっと丸尾を知っている人には有名な話ではある。このアニメーション作品は、その丸尾の代表作のアニメ化なのだけれど、製作者側の意向により一切の商品化や一般上映が禁止されている。
- 作者: 丸尾末広
- 出版社/メーカー: 青林工藝舎
- 発売日: 2003/10/24
- メディア: コミック
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上映に際しては紙吹雪やスモークなどの厳密な演出キューシートまで存在するのだそう。
さらに変態的な性描写や残酷シーンの連続に映倫を始めとする各社から苦情が殺到したという経緯も手伝って、本作は事実上の日の目を見ることもなくアングラに封じ込められている。
まぁだからこそ、今なおカルト的な人気を誇っているのだろうけれど、このアニメーション作品が丸尾の原作に輪をかけて、特殊な性格を持った作品だということはわかるだろう。
演出も単なる舞台装置にとどまらず多岐に渡り、観客参加型の実験的なメディアミックス多くなされていたようだ。
昭和の紙芝居をルーツにもつこの作品の独特な空気をオーディエンスが皮膚感覚として感じ取ることが出来るようなつくりになっている。
そう見ると先述べたような違和感も納得である。
要するにクリエイター側は丸尾のオリジナル版の持つ雰囲気を残し、あくまで「紙芝居的」な見せ方をすることに結構意識的だったというわけだ。
本来「見世物」というものは、ある種とても卑猥で低俗、だからこそあらゆる常識やモラルの拘束を受けないダイナミックな想像力が羽ばたいていくのだ。
そしてあるときは時代の権力によって弾圧され、あるときは資本主義の構造へ取り込まれ、そのたびにまた新しい流れが生まれてきた。
いつかきっと、この作品を見ることが出来る日が来るはず。
頑張れみどりちゃん。
(参考:TINAMIX REPORT:逆境哀切人造美少女『少女椿』)
よく観たらオリジナルの「少女椿」だけではなく、短編集「薔薇色の怪物」に収録されているプロローグも含んでいた。
- 作者: 丸尾末広
- 出版社/メーカー: 青林堂
- 発売日: 2000/03
- メディア: コミック
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それから丸尾末広作詞のエンディングテーマ「迷子のリボン」もよい。これCD化しないのかな。