Devil's Own

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「心からの言葉」―40周年記念作品としての「ウルトラマンメビウス」総括

 先週土曜日を以って、ウルトラマンシリーズ40周年記念作品と銘打たれた「ウルトラマンメビウス」が終了したわけだが、個人的に色々不平不満もあって、長々と書く気が起こらない。やはりタロウの客演とシリーズ途中でのウルトラマンの正体バレという斬新な要素を取り入れた「別れの日」「約束の炎」以降の流れが怒涛だったということもあって、40年を締めくくるラストが隊員達との合体変身なんかでいいのかぁという疑問が残る。リュウ=ヒカリまでは許せる、というより結構アガったが。
 ウルトラシリーズという膨大なビブリオの中から、本来オタクたちが脳内補完してきた細かな矛盾点や消化不良を、できる限り掬い取り、多くの場合は成功させてきたと思えるので、シリーズとしてはよかったのではないだろうか。第一ウルトラシリーズの最終話での敵キャラがラスボス的な貫禄を持つのは平成に入ってからで、昭和シリーズを見てみると、最終話に登場する敵は意外にあっさりやられていたりする。*1そう考えてみればウルトラ一族と3万年の因縁を持っていたラスボス・エンペラ星人のしょっぱい最期も納得できなくはない。
 ただ、単独シリーズとしての「メビウス」が他の平成ウルトラと一線を画して魅力的だったかと問われると、なんだか微妙だった気がしなくもない。シリーズ中のベストエピソードを挙げるとなると、その殆どが歴代ウルトラマンの客演回になってしまい、肝心のメビウスの主役回は印象薄だ。*2これはシリーズとしては致命的だと思うのだが。仲間との絆に終始した最終三部作がイマイチ盛り上がりに欠けたのも、恐らくメビウス自体のキャラクターのアピールが足りなかったからだと思われ、非常に残念。友情ドラマを前面に推し過ぎた弊害は明白だ。人間とウルトラマンの間の「絆」は中盤でしっかり描けていたのだから、やはり最終回は、例えばエンドロールで、歴代シリーズのダイジェスト映像を流すとかなりして、徹底的にウルトラシリーズとファンとの絆を重視した作りにすべきだったと思う。
 というわけで、平成ウルトラの最終回における最高傑作へ今もって「ティガ」または「ガイア」といったところだろうなという結論。
 何だかんだ言いつつも、非常に楽しんだのも事実。篠田三郎の出演が叶わなかったことだけが心残りだが、よくやったと思う。
 とまぁ奥歯にモノの挟まったような物言いににってしまったが、最終回を記念して作られたメビウスのダイジェストMADを発見。そうそう!これがエンドロールだったら絶対泣けたと思うんだよな!

 一方で仮面ライダー電王は「最初からクライマックスだぜ!」という決め口上を地で行く絶好調の面白さ。シリーズ屈指の異色作ではあるが、人によっては最高傑作に推す人も出てくるのではないか。シナリオの小林靖子の力量に拠るところが多いが、キャラクター一人一人の造形が非常に秀逸。素晴らしい。

*1:特に第2期。

*2:僕自身だとやはりレオの客演回「故郷のない男」が断トツで、次点に「思い出の先生」(80客演回)「メフィラスの遊戯」(初代マン客演回)と続く感じか。