Devil's Own

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FUJIROCK FESTIVAL 07 part2―ベストハグは須藤君としたぜ

 時間軸に任せて書くと何時間かかるかわかりませんが、
27日
 朝4時に新宿を出て、どうにかこうにか渋さ知らズには間に合った。素晴らしいパフォーマンスで一気に天国へと上り詰める。渋さ終了後、先に到着していた友人と合流した。
 COOL WISE MENがあまりに素晴らしくて、本来レゲエというものはこういうピースフルなものじゃなきゃねと思う。なぜか、日本でレゲエといえば、ダンスホールレゲエになっていて、ダンッダンッダンみたいな、やけに攻撃的で一辺倒なリズムトラックを持ったヤンキー音楽みたいなイメージなのだが、僕にはそれがとても不思議だったのだけれど、COOL WISE MENやフェルミン・ムグルザのライヴを見てそういう疑問符が氷解する瞬間があった。元々ダンスホールレゲエのあのリズムは、オーソドックスな横ノリの裏打ちリズムの中に割り込んでくるから、アッパーでピースフルなのであって、そのリズムだけ抽出してしまって、不必要なヤンキーメンタリティー爆発させてるだけのジャパニーズレゲエはやっぱりちょっとね。
 それにしてもベストアクトに挙げたGOMAが本当に凄かった。何度も鳥肌が立った。3パーカッションの野生的なビートに乗って、GOMAディジュリドゥというボーボーした楽器を吹いて吹いて吹きまくる。砂煙が濛々と上がって、灼熱のヘヴンは別世界のようだった。CDの宣伝とかしていたけど、多分ライヴほどの熱狂感はないんだろうなぁと思う。なんにせよ、文句なしのベストMC、ベストパフォーマンス。
 RAILROAD EARTHは、去年のString Cheeze Incidentを想起させる、素晴らしいセッションを見せてくれて、もういつまでも踊っていたいと思ったが、MUSEだけはちゃんと前で見たいなというのとKings Of Leonも一曲くらいは見ても良いかなと思ったので早めに抜ける。
 で、MUSEは物凄く興奮して観て、可愛いと噂の僕のお友達なんかは完全にマシューの虜、腐女子と化してしまい、二人でやベーやベー言いながらレッドへ行く。するとすると、僕の青春を象徴するかの如きFountains Of Wayneのリーヴ・ザ・バイカーが聴こえてきて、走る、歌う、踊る。その後も、ステイシーズ・マム、レディエイション・バイブ、サバイバル・カーと必殺トラックを連発して、やっぱギターポップ最高!ポップンロール最高!となって、今日はMUSEで最強のリフ聴いて、ファウンテインで最高のメロディー聴いて、グッドフィーリンだなぁ、10月のワンマン絶対行きたいなぁと思いながら、飯を食った。
 前日も前々日も徹夜だったのでさすがに疲労が激しくて、一度テントへ戻るが、バウディーズのリズムには踊り狂うしかなかった。周りの人々も同じく疲労困憊していたようで、ギャースカ踊っている人間は僕らだけだったが、それでもバウディーズは最高で、あまりにストレートなリズムとメロディーとシャウトが、セクシー過ぎて、ロックンロール以外の何者でもなく、正しく待ち望んでいたバンドが降りたった瞬間だったと思う。30分は足りないぜ。
 で、オールナイトフジに向かう途中、CUREの前を通るとちょうどボーイ・ドント・クライで得した気分になった。
 ティム・デラックスのDJは、本当にズル過ぎて、セブン・ネイション・アーミーくらいから、足を攣ってしまうし、睡魔に襲われるし、ブルーハーブは断念せざるをえなかった。

27日
 あまりに寒くて、5時くらいに起きる。カップめんでも食べようと思い、お湯をもらいに下に降りるとホテルに帰る途中のタナソウがいて、ちょっと話す。「何見たのー」と訊かれて、「まぁ色々観たんすけど、とりあえずバウディーズ最高でした」というと「キュア見ろよ」と怒られた。
 カップめんを食べると幾分、温まってきて、日も昇ってきたので、また眠る。
 髭は今まで見たライヴでは、一番よかった。少なくともワンマンの数千倍よかったな。相変わらず前で突っ立てるだけのファッキンジャパンフェス的なノリのオーディエンスを滅茶苦茶にかき回して、すごくすっきりした。セトリも、ディープサイケ・1mgで始めるという挑発ぶりで、初期の曲中心というのもよかったし、ラストの白薔薇なんかは特に狂っていて最高でしたな。
 !!!で一度みんなと離れ離れになり、リリー・アレン(ブロンディーのカバー最高!)を観て、カイザー・チーフスは座って眺めた。カイザーは僕が一昨年初めてフジに来たときに、レッドで観て、そのときもデブだったなぁと思い返した。
 あとはフェイストで再びお友達と合流し、比較的まったり観て、せっかくなんでイギー観ましょうかねとグリーンへ向かう。今年は去年より異様に疲れた気がしたのだけれど、多分グリーンにいく回数が単純に多かったからな気がする。
 それにしてもイギーはアホだった。まず出てきた時点で既に脱いでたし、途中で、モッシュピットの客をどんどんステージに上げたりして、みんなでギャースカ踊っていて、大パニック。スタッフもさすがに怒ってしまって「速やかに降りてくださいー。ショウ続けさせてください」って一生懸命なのに、当のイギー本人は「テキリージー、イージー、イージー」とか言ってて、腹がよじれるほど笑った。世界中さがしてもあんなイカれた爺さんはいない。
 そしてアッシュ!アッシュ!
 もうシャーロットがいなくて、大好きなオルフェウスとかもなんとなく寂しく響いたりもしたのだが、それでもひたすら歌いまくった。カンフーかゴールドフィンガーあたりから少しずつ胸が詰まってきて、ガール・フロム・マーズでついに涙が出てきて、ラストのトワイライト・オブ・ジ・イノセンスは、もう号泣で、何かのライヴであんなに滝のように涙が出たのは本当に初めてだったので驚いた。それでもまぁあの曲は歌詞が単純なので、めちゃくちゃ歌って、それで更に泣いた。トワイライト・オブ・ジ・イノセンスは本当に凄い曲で、多分あれがひとつの到達点で、一方で終わりを予感させるパフォーマンスでもあった。覚悟というと陳腐な表現ではあるが、15歳からバンドを続けて、ひたすら真直ぐで甘酸っぱいギターロックを鳴らし続けていた彼らが、まるで別バンドのようにドラマチックなループ構造を持ったシンフォニーを奏でていて、でもその姿はどこまでもASHだったし、感動的だった。そして自らに言い聞かせるように歌うI'm Still Breathing My Heart Still Beatingという実存主義者のようなリリックの切迫感は、本当に胸が潰れるほどだった。
 そして、もしかしたら、彼らのライブを見られるのは本当に最後なのかもしれないと、少し思った。
 遠巻きで見る感じギャロも凄くよかったのだが、JUSTICEに力を温存したいがために、とりあえず遠巻きに見る。レッドに向かう途中ブンブンを通過し、ところ天国を過ぎたところで、Kick It Outのイントロが聴こえて、あえなく引き返す。一曲だけ踊って、再びレッドへ。
 Space Cowboyは知ってる曲が多い分楽しくはあったが、DJとしてはどうなのと思った。前日のティム・デラックスや、この後のJUSTICEのアクトを観るとやはりテクニックの低さが目立つなぁ。
 その後、僕だけはルーキーを見に行くことにして、離脱。JUSTICEで合流する約束だったが結局無理だった。
 それにしてもJUSTICEはカッコよかったな。アルバム一枚分であそこまで盛り上げていたのも凄いし、ラストではウィー・アー・ユア・フレンズとウォーター・オブ・ナザレスマッシュアップしていて、僕はウォーター・オブがかかるといつも爆笑してしまうのだけれど、これは本当に笑いつつも感動した。JUSTICE観たら、みんな帰ったので、その人ごみで仲間を探すのは当然無理なので、マーキー横の芝生でしばし眠った。
 だらだらと帰っているとクリスタルパレスからジャクソン・シスターズのミラクルズが聴こえてきて、ついつい入ってしまう。
 思い返すとこのときが一番パーティーだったなぁ。めちゃくちゃ楽しかった。今年は全然アルコールを飲まなかったが、ここではさすがに飲んだ。DJもそこまで上手いわけではなかったが、ずっとレアグルーヴやファンクばっかりかけてて、おまけに山下達郎の高気圧ガールまでかけ始めて、結局一時間近く踊って、外に出るとすっかり朝だった。
 テントにとぼとぼ向かう途中で、おっきなグラサンのお兄さんが踊りながら歩いていて、よくよく見ると髭の須藤君だった。思わず話しかけると、いきなりハグされて、「昨日のライヴよかったっすよー」「ありがとう、あれはよかったよね!」「さっきミラクルズかかってましたよ」「マジで?」みたいな会話もして、やっぱりフジは最高だぜと思った。
 テントで泥の如く眠る。

ちゅうわけで、続きはまた後ほど。今日はアルトマン見るので。