Devil's Own

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繰り返すこのオナニズム―非モテとPerfume

GAME(DVD付) 【初回限定盤】

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Perfumeが僕の人生にあまり関係ないということに気がつかなくてはならない。浮気性で飽きっぽい僕は、いつまで経っても寝てくれない彼女とこれ以上付き合うわけにはいかないのだ。
 僕はPerfumeが好きというよりPerfumeがウケている状況そのものに興味がある、というイヤな人間なのだ。カプセルは気取り過ぎで全く興味が持てないが、Perfumeは適度にスノビッシュなので音楽も結構好きだったけど、でも新作は全然ノレない。「ポリリズム」あたりから薄々感じていたが、中田ヤスタカが気負いすぎている。タイトルトラック「GAME」はジャスティスを思わせるビキビキのハードコアテクノだが、あざとい。方向性としては間違っていないと思う。「テクノポップアイドル」としての地位を不動のものにした力作だ。ただ軌道に乗った彼女たちの音楽に「離陸前」の危なっかしさはない。すっかりイキ上手になっていた僕らは当然「乱気流」や「墜落」を期待するが、ここにあるスリルといえば、上手な宙返りやジグザグ飛行だ。
 Perfumeの「アンチセックス」はここで極まった感がある。一度だけ彼女たちのライヴを見たことがあるが、まるで球体間接人形を観ているかのような不思議な「擬似」感があった。ダフトパンクが覆面を被るのと同じように、Perfumeは「サイバーアイドル」というコンセプトで武装する。かしゆかがどんどんゴス化していくのも自然な流れだ。ただ、セックスの匂いを徹底的に排除したPerfumeのようなグループがチャートを席巻し本当の意味で「アイドル」となったことに違和感がある。殊更はてな界隈で異様にウケたことに薄ら寒さを感じる。そこで思い出すのは「保護される非モテ」について鋭利な洞察を述べたこのエントリであって、Perfumeというアイドルは、ここで述べられる「非モテ」を夢中にさせる、格好の存在だったように思うだ。「モテない自分」をメタ視することで「敢えてモテない」というアティチュードへ変換するという心理は、Perfumeのコンセプトと強く共振する。いや、別にそれが悪いとは言わない。異性に対する過度の期待と劣等感が入り混じった童貞的なメンタリティーを爆発させるのは嫌いじゃない。何がおかしいのかって、ダサさがないのだ。童貞だからといって、モテないからといって、どうってことはない。セックスに対する異様な無関心。そのほうがカッコいい、トレンドなのだ。だってわれらがアイドルPerfume微塵もセックスの匂いを発露させずとも、こんなにカッコいいじゃないか!