Devil's Own

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「ホット・ファズ」


 それにしても映画に関してはセンスのかけらもない僕のようなボンクラにしてみれば「コロッサル・ユース」なんて過ぎてもう眠くて眠くて仕方がなく、疎外感が半端なかった。編集や語り口から言えばその真逆の作劇をとっているとも言える「ホット・ファズ」はといえば、これも駄目だ。隊長、早すぎてついていけません。ジル・ドゥルーズ風に言うならば、この映画は「行動イメージ」の極北であり、この映画ではカメラも登場人物もすべてが激しく運動している。
 や、面白かったよ。面白かったんだけど、カット割りすぎだし、手持ちも多すぎて、終始映画の予告編を見ているかのような落ち着きのなさを感じてしまった。冒頭数分で、主人公の敏腕デカ・・や敏腕警察官ニコラス・エンジェルがあまりの有能ぶりに周囲から疎まれ左遷されるまでのあらすじがぽんぽんと語られる。そのスピードは何度か見たこの映画の予告編と見まがうばかりだ。その簡潔さには好感が持てる。しかしカメラワークと編集を畳み掛けること=ストーリーを畳み掛けることではないと思う。というわけで、今回も流行に乗り切れませんでした。ただこの映画、「最強のお馬鹿映画」だとはちっとも思わない。テンション高くて楽しい映画ではあるけど、作ってる本人たちはすごく真面目だとすぐにわかるし、純粋にエンターテインメントしている映画だと思う。DVDになったらビール飲みながら友達と見たい。そのほうがしっくりくる気はする。
 次に見た阪本順治監督の「カメレオン」は面白ひ!ので明日はそれ書く。