Devil's Own

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山口さんちのツトムくん

ようつべが削除されたのでニコ動に差し替えました。名曲の価値を貶めるのでコメントを消して見ると約束してください!!!!

 何の反応もないからさらに調子に乗って書かせてもらう。このうたでどうして泣いてしまうのかよくよく考えてみたんだけど、この曲ってどう考えてもラヴソングなんだと思う。しかもこのうたがラヴソング足りえているのは、みんなのうたのこのアニメーションに拠るところが大きいんじゃないだろうか。このアニメのそばかすの女の子は永遠の少女性を体現している。大好きなツトムくんが元気がない。元気になって欲しいという気持ちが1、2番で丁寧に歌われて、その後の間奏のシャボン玉のシーンがとてもいい。僕はシャボン玉というものに対して偏愛をもっているからなんともこの場面はぐっとくる。3番になってツトムくんは急に元気を取り戻す。田舎に帰っていたお母さんが帰ってきたのだ。ポイントは女の子には結局ツトムくんを元気付けることができなかった、という点で、偉大な母親がツトムくんの心を捉えたままであるという少し切ない関係になっているということだ。元気になった途端お土産のいちごを持ってのこのこやってくるツトムくんの無自覚さといったらない。息子をほったらかしにして何日も実家に帰ってしまう母親と毎日心配して声をかけてくれる彼女とどっちが大事なのよこのマザコン!と全国の乙女は思うかもしれないが、君たちはビートルズの「ジュリア」やジョン・レノンの「マザー」を500回くらい聞いて、少年が母親の愛情というものをどれだけ渇望しているのかを理解するべきだ。しかもそれは与えられないときにこそ激しく渇望するくせに、あればあったでこれほど鬱陶しいものはないのだから厄介な代物なのだ。この女の子はそれをよく理解している。だからこそ「ちょっぴり酸っぱいね」は切なく響く。ちなみに作者のみなみらんぼうはこの曲がヒットしてかなり後になって、少年時代母親を亡くして意気消沈していた自分自身についてのうただったことに急に思い当たってその瞬間堰切ったように涙が溢れてきた経験を語っていた。そういうことだよ。

追記:どうやらこの歌には「ユミちゃんの引越し」という続編ともいえる歌が存在するのだそうだ。ツトムくんを気遣ってくれた女の子・ユミちゃんが引越ししてしまう。その別れが今度はツトムくんの視点から歌われているのだそう。「夏休みになったらお小遣いを貯めて会いに行くんだ」という歌らしいが、すごく聴きたい!二人の恋の行く末はどうなったのだろうか??