Devil's Own

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『グリズリー』(ウィリアム・ガードラー)

"Grizzly"1976

 グリズリーベアーが大暴れするパニック映画。そんなに怖くはなかったかな。面白いけど、パニック映画としては『アリゲーター』の方がずっとよく出来ているとおもう。ウィリアム・ガードラーは『マニトウ』のときほど才気走ってるわけではないが、オーソドックスな演出に徹している。俳優陣の安定した仕事ぶりとロバート・O・ラグランドのスコアもすばらしく、今見てみると意外なくらい正統派のアメリカ映画という印象。残酷描写もそれなりにあるが、馬の首が吹っ飛ぶ場面がいちばんびっくりしたな。あれは監督のアイディアなのだそう。『ジョーズ』との酷似は誰の目にも明らかなわけだが、製作者側はこれを否定している。『ジョーズ』の公開前からシナリオは出来上がっていたのだそうで、指摘されるさまざまな類似点も偶然なのだそう。まぁ、ルイス・ティーグのように「『ジョーズ』を真似しようと苦労したよわっはっは」と正直に言う人間もそうそういないとおもうが、おそらくプロデューサーも監督も『ジョーズ』をちゃんとは見ていなかったのではないか。見ていたらもっと上手く作れるとおもうんだよな(笑)DVDには製作のデヴィッド・シェルドンによるコメンタリーが収録されているのだが、インタビュアーに『ジョーズ』の話をされると露骨に機嫌が悪くなるところが面白かった。『ジョーズ』なしにはヒットしえなかったことも確かだとおもうが、動物パニックものが低予算で収益を上げることの出来るジャンルであることを示したのは『グリズリー』ではないか。あとハッタリ感溢れるかっこいいポスターもヒットに貢献したとおもう。これ貼られてたら見に行くよ。