Devil's Own

cinema, music, book, trash and so on...

さようなら2012(音楽編)

 AVや映画のエントリほど力は入っていませんが、今年よく聞いていた音楽もひっそり振り返っておきます。今年はあまり新譜を買いませんでした…中村一義七尾旅人くらいしか買わなかった…。CDショップに行かなくなったというのもあるかもしれませんが。地方に帰ってきてから買い物自体ほとんどアマゾンという感じです。アルバム単位でよく聞いていたのはこんな感じ。

早熟

早熟

LOVELESS

LOVELESS

EP'S 1988-1991

EP'S 1988-1991

Leisure (Special Edition)

Leisure (Special Edition)

On the Tlc Tip

On the Tlc Tip

ア・ソング・フォー・ユー

ア・ソング・フォー・ユー

見つめあう恋

見つめあう恋

 新譜は買わなかったけど、リマスターなどはいろいろと新しく出たので買い換えたりはした。岡村ちゃんはけっこう久しぶりによく聞いたな。新しいライブBlu-rayまで買っちゃった。『家庭教師』は砂原良徳がリマスターを手がけたりして話題になったけど、劇的に音の変化を感じたのは『早熟』だった。ライナーに『モテキ』の大根仁監督がエッセーを寄せているがこれがすこぶる気色悪くていい。
 昨年はスミスとスウェードジザメリのリマスターが発売されて「あとはマイブラくらいだな」と書いていたんですよ。みなさん覚えていないとおもいますが。ところが、マイブラのリマスター出たの!オリジナル2枚だけではなくEP盤を集めたコンピまで発売。『ラブレス』のリマスター盤は一度、土壇場で発売中止になったりしたのでぎりぎりまで信用していなかったけどちゃんと出た。そしてリマスターは非常に満足のいく出来でした。『ラブレス』はCDの音がかなり小さいので、もっとがんがん音圧上げてくるのかなとおもったらそんなこともなく、一聴するとあまり違いがわからずに困惑した。しかし、よくよく聞き比べるととても立体的になったとおもう。"I only Said"、"Blown a Wish"などが顕著でスピード感がちがって聞こえる。一方でマイブラはすべてをノイズが埋め尽くすような音像が特色のバンドなのでここまで立体的なリマスターはもしかしたら好みが分かれるかもとはおもった。えらそうにいいながらも私もリマスターのことってよくわかってなかったんですよね。今年、山下達郎がベストアルバムをリリースしたタイミングでリマスターについて話していたときに、音圧を上げていかざるをえない現状のリマスターを指摘していて、「あーなるほどな」とおもった。音がでかければいいというわけではないのかと。そういう意味でマイブラのリマスターは単に音圧を底上げしただけではない理想的な再リリースになった
 マイブラに加えてブラーまでリマスター。もう音楽に関してはいつ死んでもいいかな。ファーストからセルフタイトルの5枚目までをアビイロードスタジオのフランク・アークライトがリマスター。『13』『シンク・タンク』は同じマスターではあるが全アルバムをボーナスディスク付きで再リリースした。ここにレアトラックスやDVDを加えた22枚組の集大成的なボックスセット『21 Box』を発売。もう買ってしまいました。今年1番の買い物だな。そしてレアトラックスほとんど聞けてないっていう…。しかし後悔はしていない。ブラーはロンドンオリンピック閉幕式のライブがおそらく最後の活動になので、このボックスは本当に決定版になるとおもったから。今回の再リリースで私が偉いとおもったのはオリジナルアルバムとアウトテーク集のディスクを完全に分けたところ。オリジナル末尾にボートラをいっぱい付け足すのって個人的には美しくないのできらいだ。ファーストアルバム『レジャー』なんか、実は曲間にボートラが収録されていたということに今回初めて気づいてびっくりした。アルバムの印象かなり変わったよ。音に関しても私の中で一番「化けた」のは『レジャー』だった。なんか『レジャー』って「まだシューゲイザーフォロワーから抜け切れていない」みたいな評価のされかたしてたとおもうんだけど、全然そんなことない。既にソングライティングは突出しているし、グレアムのギターまじでかっこいいよ。
 TLCは去年はセカンドばっか聞いてたけど今年はファーストめっちゃ聞いてた。TLCのファーストもなんか過小評価されてますよね。
 カーペンターズむかしから好きなんですけどね。今年、ちょっと音のいいCDで聞こうかなっておもって一番あたらしいベストを買ったんですよ。そしたらところどころでなんか微妙にちがう。アレンジが。私が知っているのとちがうのだ。実はカーペンターズの音源を新しくリリースするときにけっこうな頻度でリチャード・カーペンターが手を加えているらしいということがわかった。まるでジョージ・ルーカスじゃないかと。結局オリジナル盤で聞くしかないとおもい、何枚か買ってしまった。恥ずかしながらオリジナルアルバムでしっかりとカーペンターズを聞いたことなかったんですよね。ちょうど今年の秋、ユニバーサルがSHM-CD仕様でオリジナルアルバムをリイシューしてくれたのでベストタイミングだった。どれもすごくよかったのだが特に4枚目の『ア・ソング・フォー・ユー』を推したい。6枚もシングルを切ってそのすべてが世紀の名曲というモンスターアルバムだが、オープニングとエンディングで円環構造を演出するなどトータリティがすぐれている。この方法はさらに洗練され、次作『ナウ・アンド・ゼン』へと結実していく。あともうひとつ特筆したいのは名曲"Top of the World"が耳なじみのバージョンとかなりアレンジが異なっている点。私も最近知って驚いたのだけど"Top of the World"って最後までシングルカットをまったく想定していなかったらしいんですよ。アルバムリリース後、リン・アンダーソンによるカバーがヒットしたことを受けて、再アレンジしてシングルリリースした。だからシングル"Top of the World"はアルバム『ナウ・アンド・ゼン』より後にリリースされたということになる。現在広く親しまれているのはシングルバージョンで、アルバム収録のオリジナルはもう少しカントリー色が強いアレンジになっている。このオリジナル音源は『ア・ソング・フォー・ユー』CD化の際にシングルバージョンと差し替えられ、長らく日の目を見なかったのだそうだ。もう一枚よく聞いたのは7枚目『見つめあう恋』。このアルバムは一般的にカーペンターズの人気が陰りを見せ始めた最初のアルバムとして認知されているようだ。じっさいチャート的にもふるわなかった。リチャードはカーペンターズ流のオールディーズカバーを極めた『ナウ・アンド・ゼン』に比べ見劣りすると述懐しているが、そんなことはない。カーペンターズの円熟の高みが感じられる快作になっているし、なにより気軽に聞けて楽しいんですよね。一番手元においておきたいというか、聞けばちょっとだけ気持ちをリフトアップしてくれるそんなアルバムです。カーペンターズのオリジナル盤を聞いていて感じたのは、稀代のボーカリスト、カレン・カーペンターの歌声の強度である。後年再アレンジされたバージョンは確かに洗練されているし、今の感覚でもじゅうぶんに現代的だ。情報量の多い現在のポップミュージックに聞きなれた耳にはオリジナル盤のカーペンターズはシンプルすぎてちょっと物足りなく感じるかもしれない。でもいくら豪奢にアレンジしてもオリジナルに勝るものものはなくて、それはやはりカレンの歌声がいちばんよく聞こえるからだとおもうんですよね。
 最後によく聞いた曲やよく見た動画など。

Tracy Ullman「Braak Away」

Blur「I Know」

太賀誠(妻夫木聡)「激しい恋」

「迷い道」

Blaque「As If」

Rajinikanth & Aishwarya Rai(Javed Ali, Chinmayi)「Irumbile Oru Irudhaiyam」

朝川ひろこ「魔法使いサリー

WANDS「Just a Lonely Boy」


 WANDSっていま聞くと面白いですね。ベースはボン・ジョヴィとかガンズのハードロックなんだろうけど、ちょっとディスコっぽいアレンジがあったりしてですね。聞くだけで90年代にタイムスリップしちゃう。という感じでした。ほんと音楽のエントリは毎回書いていて申し訳ない気持ちなんですが…。