Devil's Own

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栗山千明の誕生日に思う痛々しいゴス論

すっかり忘れていたのだが、昨日10月10日は僕らのアイドル栗山千明の誕生日だった。

22歳、また彼女の方が年上になってしまいました。おめでとうございます・・と。
もはや日本のゴス系美少女代表としてハリウッドセレブですらある彼女だが、英国BBC制作の日本文化専門ドキュメンタリーでの栗山千明特集がYouTubeにアップされていた。バイオレンスシーンてんこ盛りの映像コラージュが笑える。インタビューは英語吹き替えがオーバーラップされているので正確に何を言っているかは少々聞き取りづらい。

まぁ仕方ないけど、海外でウケがいいのは変わらないみたいだね。
先ほど「ゴス」という表現を用いたが、こう聞いたとき恐らく大半の人々が、所謂ゴスロリと呼ばれる下図のような原宿界隈を彷徨っている痛々しいタイプを思い浮かべるとは思うが、

僕に言わせればこれはゴシック思想の形骸化であって、全くもって魅力の欠片の感じない。こういったものと栗山千明を同列に語るわけにはいかないので、僕は「ゴスっぽい」とはあまり表現しないようにしている。
ジョー・ストラマーが「Punk Is Attitude」という名言を残したにも関わらず、多くの人たちが「パンク」という言葉をファッショントライブとして用いているのと同じようなものだ。あいつらのどこがパンクだっつうの。

こと栗山千明に関して言えば、
まず視線が全く別格だ。「生」に対する冷め切った反応と「死」への強い眼差しが本物のゴスってものでしょう。
乙一の傑作ミステリー連作集「GOTH」の主人公森野夜、彼女こそが本物。そしてこの世で森野夜を演じきることができるのは栗山千明しかいないと信じて疑わない。誰しもに共通して「死」という終着駅があり、だれもが他の種族を食らい、姦淫をむさぼって生きている。その罪自体を甘受することへの宿命的なデカダンスを眼差し一つで表現することができる女優が一体何人いることか。

GOTH―リストカット事件

GOTH―リストカット事件

というわけで昨日にも増して気持ち悪いエントリーになってしまったことをお詫びしつつ、明日は恐らく丸尾ネタなので、もっと変態的な記事になることを断りつつ今日はここまで。

追記:クラス内での数少ない友達ネギさんがトラバ先で、独自ゴス論を展開しとるね。面白いね。というより非常にわかりやすい見解なので参照されたし。さすが専門家(笑)君にそんな美しい過去があったとは(笑)
そうそう、ここで言及されるようにキリスト的立場のアンチテーゼという側面は非常に大きい。むしろ英国でMUSEとかエヴァネッセンス(栗山千明も好きだそう)聞いているゴスっ子たちの行動動機としては、多分に信仰深い両親へのレジスタンスという意味合いが大きいんだそう。精神的な要素に比重を置いているからこそ、その背徳感も日本とは比べ物にならない。向こうではゴスっ子を「改心」させ普通の格好させて親が涙を流して喜ぶドキュメンタリー番組だって制作されているのだから、ある意味で社会問題ですらあるようだ。
こういった精神的なファクターへの理解が欠落している分、日本のゴスがファッション要素に特化していくのは当然といえば当然だよね。更に「ゴスロリ」との認識的な混同が混乱を読んでいるのも勿論ある。
なんかこうやって見るとますまーす「パンク」定義の混乱に事情が似てくるね。