Devil's Own

cinema, music, book, trash and so on...

R.I.P. Adam Schlesinger

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https://www.billboard.com/articles/news/obituary/9348904/adam-schlesinger-dead-fountains-of-wayne-coronavirus


 米国のロックバンド、Fountains Of Waye(FOW)のベーシストで、ソングライティングの要を担っていたアダム・シュレシンジャーが新型コロナウイルス感染症で亡くなった。FOWだけでなく、女性ボーカルを擁した3ピースバンドIVYなどでも活動、楽曲提供と客演も多岐にわたり、『すべてをあなたに』、『ラブソングができるまで』など映画音楽でも多くの代表作を残した。3月に入院したと知ったが、「呼吸器を付けているものの重篤ではない」とのニュースもあり、安心していた矢先の訃報であった。

 思春期特有の背伸びで「洋楽」を聞き始めた14歳のころ、1枚1000円で叩き売られていた輸入盤を当てずっぽうでジャケ買いした。それがFOWのセルフタイトルのファーストアルバムだった。その後、ロッキングオンの、おそらく坂本麻里子氏が執筆されたコラムで、ギークロックやパワーポップと呼ばれる系譜のバンドであることを知った。このジャンルの筆頭であるウィーザージェリーフィッシュも、FOWより後で知ったのだ。ちょうど2枚目の『Utopia Parkway』もリリースされ、この2枚は繰り返し聞いた。3枚目の『Welcome Interstate Managers』が出たのは高校3年生のときで、センター試験の帰り道、惨憺たる結果から逃避するかのようにヘッドフォンで鳴らした。4枚目『Traffic and Weather』のリリース時は東京で大学生活を謳歌していて、来日公演にも観に行った。今の仕事に就いた2011年、5枚目『Sky Full of Holes』が出た。間違いなくこの20年間、FOWは私の心の特別な位置を占め続けてきた。

 たいへんなショックを受けながら、Spotifyのプレイリストを再生した。"Stacy's Mom''、"Sink To The Bottom"、"Someone To Love"、"Denise"、"Radiation Vibe"、"Hackensack"、"Leave The Biker"、"It Must Be Summer"。何度も口ずさんだ甘くせつないメロディー、単純明快なパワーコード、美しいコーラスワーク、そして詩情とユーモアに満ちた短編小説のような詞世界…。ちくしょう、なんていい曲なんだろう。どれもこれも最高で、ぽろぽろと涙があふれでた。

 一緒にライブに出掛けた女友達やCDを貸し借りした親友と久しぶりに連絡を取り、悲しみを分かち合った。またライブ、観たかったな。

 こんな思い入れを書き綴ったとして、何の役にも立たないし、この最悪な状況が変わることもない。残されたバンドのメンバー、わけてもシュレシンジャーと共に多くの名曲を作ってきたフロントマン、クリス・コリングウッドはどのような心持ちでいるのだろうか。それもほんらいなら私には関係のないことだ。でも、彼らが生み出したいくつかのレコード。そのなかに登場する情けなくい主人公たちを、私は抱きしめたくなるほど愛しているし、彼らの物語は、黄金のメロディーと共に永遠に生き続ける。


Fountains Of Wayne - Radiation Vibe (Official Music Video)

Fountains Of Wayne - Leave The Biker


Bright Future In Sales - Fountains of Wayne


Fountains of Wayne - The Summer Place