Devil's Own

cinema, music, book, trash and so on...

2010-01-01から1年間の記事一覧

さよなら2010(映画編)

こんばんは。恒例のふりかえりエントリ映画編です。今年劇場で見た映画は1月1日に再見した『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』から12月27日『シングルマン』までのべ113本。再見したものやリバイバル上映を差し引くと新作映画は1月12日『(500)日のサマー…

さよなら2010(音楽編)

毎年末にその年によく聞いたレコード10枚と、その年に面白かった映画10本を「どうよ」とばかりブログに書き晒して、大いに自意識を充足させているわけだが、もうこういうエントリーを書かないと年末という感じがしなくなってしまった。ネット依存ですよ。今…

『ゴダール・ソシアリスム』(ジャン=リュック・ゴダール)

"Film Socialisme"2010年/フランス・スイス 高熱にうかされたような状態で劇場を出たのはいつぶりだろう。100歳に達したオリヴェイラやゴダールとは同い年になるイーストウッドの近作も確かに驚くが、真に過激な老人はやはりゴダールだった。『シネマ・ソシ…

『キック・アス』(マシュー・ヴォーン)

"Kick-Ass"2010年/アメリカ・イギリス 公開前から既に高い評価を得ていた『キック・アス』の上映が始まった。序盤からラストまで、テンポのいいアクションとコメディで突っ走る痛快娯楽作であり、同時にここ数年アメリカ映画の傾向としてある「ヒーロー論」…

私のトラウマ映像10選

一時期フィフス・エレメントを挙げるみたいなのが流行りましたが、私にとっては突如テレビが受像した、もしくはVHSに録画されていたこのような映像群がもっとも深く心に刻み込まれた表現である。 土曜ワイド劇場オープニング 政府広報CF通称『キッチンマザー…

『怒りの日』(カール・Th・ドライヤー)

"Vredens Dag"1943年/デンマーク 長らく廃盤になっていて入手も難しかったカール・ドライヤーの傑作『怒りの日』が、先日紀伊国屋レーベルからリリースされました。このブログでも何度か言及しているように、私がこの世で最も好きな映画である。以前オールタ…

続編映画ベスト10

毎年末のお楽しみ。今年のお題は続編映画ベストということで。ではさっそく。 http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20101101 1.『ダーティハリー2』(テッド・ポスト) 2.『エクソシスト3』(ウィリアム・ピーター・ブラッディ) 3.『スパイダーマン2』(…

『エクスペンダブルズ』(シルヴェスター・スタローン)

『ロッキー・ザ・ファイナル』あたりからシルヴェスター・スタローンの仕事がふたたび注目され始めた。私自身はといえば、前作『ランボー/最後の戦場』で完全に手の平を返した口である(てか、私と同世代の人間には多いと思うんだけどね)。少年時代からフィ…

『ナイト&デイ』(ジェームズ・マンゴールド)

傑作ぞろいのマンゴールドのキャリア中では一見最もライトな印象を受ける。トム・クルーズとキャメロン・ディアスでなかったら日本では公開すらされなかったのではないか…。永久機関テクノロジーをめぐるCIAエージェントと武器商人たちの争奪戦。その中で演…

『ガフールの伝説』(ザック・スナイダー)

あまりにも予想通りの出来ばえというか「私達が自慢されたい」ザック・スナイダーなショットの連続にちょっと笑ってしまった。方々で言われているように、人気児童文学『ガフールの勇者たち』を『300』的ヴィジュアルで映像化した作品である。これで言い切っ…

『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(ウケ・ホーヘンダイク)

アムステルダム国立美術館の改修工事を追ったドキュメンタリー映画。世界有数の所蔵数を誇る美術館に、大規模な改築計画が持ち上がる。一流の建築家による洗練されたデザインが提示され、世界に誇れる新美術館オープンに向けて色めき立つ関係者たち。しかし…

Devil's Own別館

単純な備忘記録とウェブログのバランスがどうも掴みかねるので、観賞記録は別ブログに移すことにしました。これは本当に記録だけで個人的なものなのですが一応http://d.hatena.ne.jp/Die7/ こっちのブログは前みたいに感想文ブログになりますよ。よろしくお…

『グリズリー』(ウィリアム・ガードラー)

"Grizzly"1976 グリズリーベアーが大暴れするパニック映画。そんなに怖くはなかったかな。面白いけど、パニック映画としては『アリゲーター』の方がずっとよく出来ているとおもう。ウィリアム・ガードラーは『マニトウ』のときほど才気走ってるわけではない…

『アリゲーター』(ルイス・ティーグ)

"Alligator"1980 『クジョー』が素晴らしかったので借りてきた。ちょっと調べてわかったのだが、監督のルイス・ティーグはもともとロジャー・コーマンの下で仕事をしていたのだそうだ。作品を見る限りそのスピリットをしっかり受け継いでいるとおもう。12年…

『クジョー』(ルイス・ティーグ)

"Cujo"1983 スティーヴン・キング『クージョ』の映画化。穏やかで忠実なセントバーナード、クジョーが狂犬病に冒され凶暴化する。プロットからも分かるとおり、『ジョーズ』以降量産された動物パニックもののひとつ。実は子どもの頃の私が一番苦手としたジャ…

『ゾディアック』(デヴィッド・フィンチャー)

"Zodiac"2007 『ゾディアック』について今一度書いておきたい。サスペンスやスリラーとして本作を見たときに、欠点として必ず指摘されるのが160分という長さである。なるほど私も公開時には長すぎるとおもったし、ヒッチコックなら90分以内でまとめあげるこ…

『コララインとボタンの魔女』(ヘンリー・セリック)

"Coraline"2009 同じく早稲田松竹にて。『アリス・イン・ワンダーランド』と続けてみると『コラライン』がいかに優れた少女映画たりえているかがよくわかる。私の周りにも『アリス』を見てもやもやしてしまった、と言っている人が数人いたけれど、そういう人…

『アリス・イン・ワンダーランド』(ティム・バートン)

"Alice In Wonderland"2010 早稲田松竹にてアリス・イン・ワンダーランド ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン発売日: 2010/08/04メディア: Blu-ray購入: 3人 クリック: 53回この商品を含むブログ (38…

『ミックマック』(ジャン=ピエール・ジュネ)

"Micmacs à tire-larigot"2009 『アメリ』はあまりに表層的な見方ばかりされているのと、前作『ロング・エンゲージメント』がわりと微妙だったことも相まってしばらくジュネには距離を置いていたのだが、『ミックマック』は初期作にあった廃物フェチ、大道芸…

『めぞん一刻』(澤井信一郎)

1986 音無響子役に石原真理子、五代裕作役に石黒賢という一体誰に向けて作られているのかわからないキャスティングは今見ても怪異だが、公開当時も原作ファンの受けはよくなかったであろうことも想像に難くない。アマゾンのレビューも酷評だらけである。そう…

奈良行ってきたよ

仕事をやめて暇ができたのでちょっと奈良に行ってきました。実は、奈良には小学生のころに父親に連れてきてもらったことがあり、これは少年時代の想い出の中でもとりわけ美しいものとして記憶されている。基本的に私も父親も出不精だったため、幼少のときに…

『仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』(坂本浩一)

2010 『仮面ライダーW』(以下『W』)は気がついたときに見るくらいだったのでそこまで熱心な視聴者ではなかったが、コメディの配分やテンポもよかったし毎回わりと楽しくみていた。今回の劇場版は、本編ドラマのクライマックスを盛り上げつつイベント映画…

『ボヴァリー夫人』(ヴィンセント・ミネリ)

"Madame Bovary"1949 少し前から気になっていたヴィンセント・ミネリ監督による『ボヴァリー夫人』。メトロ・ゴールデン・メイヤー製作のアメリカ映画で、むろん全編英語である。エマ・ボヴァリーをジェニファー・ジョーンズが、シャルル・ボヴァリー(劇中ではチ…

『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(入江悠)

2010 『SR サイタマノラッパー』(以下『SR』)最大の特徴といえば、俳優を極度に追い詰めるワンシーンワンカットだろう。こうした手法が映画における気まずさ、居たたまれなさの表現に絶大な効果を発揮していたことは確かだが、『SR』はほぼ全編がワ…

『幻の女』(ロバート・シオドマク)

"Phantom Lady"1944 ウィリアム・アイリッシュの原作が書かれたのは42年なのでわずか2年後の映画化ということになる。アイリッシュの原作は中学生のときに読んだ。ニューヨークを舞台としたノワール色の強い探偵小説で夢中になって読み、終盤であっけなく明…

『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(ジョー・カーナハン)

"The A-Team"2010 タイトル末尾にTHE MOVIEをつけるのは書いててもちょっと恥ずかしいなあ。からっと風通しのいいアクション映画でしたよ。良作。『M:i:III』は降板させられてしまったが本作を見るとカーナハンもなかなか力量がある人だとおもう。エイブラム…

『マイ・フェア・レディ』(ジョージ・キューカー)

"My Fair Lady"1964 ヒッチコックが、キム・ノヴァクをグレース・ケリーへ変身させる狂気に駆り立てられたように、キューカーもまた女性を変身させるというオブセッションにとらわれた作家だ。『マイ・フェア・レディ』は、『男装』や『ボーン・イエスタディ…

『シルビアのいる街で』(ホセ・ルイス・ゲリン)

"Dans La Ville de Sylvia"2007 六年前に出会ったシルビアという女性の姿を探し彷徨う青年が、カフェで見つけたそれらしき女性を執拗につけまわし、ようやく話しかけたが人違いでした、という話。本当にそれだけの話。ストーリーはほとんどないに等しいが、…

『ベスト・キッド』(ハラルド・ズワルト)

"The Karate Kid"2010 いじめられっ子が格闘技の訓練を積みリベンジを果たす、という少年ジャンプ的ストーリーはそのままに、舞台を北京へ移し空手はカンフーへと変更された。なぜかタイトルは"The Karate Kid"のままだが内輪では"The Kung-Fu Kid"と呼称さ…

『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』(高畑勲)

2010 テレビシリーズの6話までを劇場用に再編集。主題歌やタイトルテロップなどもしっかり入っていて、世界名作劇場の感覚が再現されている。ほんと素晴らしかった。「赤毛のアン」は私の母親のバイブルだからね。私はマザコンなので、アンが幼少期の母親に…