Devil's Own

cinema, music, book, trash and so on...

2010-01-01から1年間の記事一覧

『ナッシュビル』(ロバート・アルトマン)

CS

"Nashville"1975 数年前のPFF特集上映以来。登場人物が多すぎて追いきるのに精一杯だったのでもう一度見られてよかった。

『借りぐらしのアリエッティ』(米林宏昌)

2010 人間の日常が、小人の目を通して見た世界へと見事に異化されている。物語に起伏がなく、アリエッティと病弱な少年のゆるい交流にほとんどが割かれている。彼らの邂逅は周囲の世界を壊滅的にまで歪めてしまう、といえば、『崖の上のポニョ』の変奏といえ…

『ヒックとドラゴン』(クリス・サンダーズ、ディーン・デュボア)

"How To Train Your Dragon"(2010) まったく関係のない話から始めると、山田詠美の小説に「ぼくは勉強ができない」というのがあるよね。あれには本当にいらいらした。何、その言ってやったぜ感は!高校生が「ぼくは勉強ができない」なんて言っても全然リスキ…

『血とバラ』(ロジェ・ヴァディム)

CS

前々から見たかった「吸血鬼カーミラ」の映画化。どすけべヴァディムのすかした変態性が遺憾なく発揮されている。私の中でヴァディムは、よくも悪くも典型的なフランス人であり、洗練のなかにもつねに軟派な感性が入っているところなんかは割と好きだ。閉ざ…

『座頭市あばれ凧』(池広一夫)

CS

7作目。ヤクザの清六に鉄砲で撃たれ川に転落した市は、花火師の久兵衛らに助けられ、恩に報いるため津向の文吉(香川良介)の宿を訪ね、わらじを脱ぐ。津向の文吉(香川良介)は富士川の川渡しを良心的に取り仕切っていたが、事業の横取りを企む対岸の竹屋の…

『ソルト』(フィリップ・ノイス)

アンジェリーナ・ジョリーというジャンル映画。ほとんどセガールなみに強靭な肉体に加え、主人公のスパイとしての立場が二転三転するためにまったく感情移入させず、ただただアクションのみで押し切る。基本的にはボーンシリーズ以降のスパイ映画の佇まいだ…

『エアベンダー』(M・ナイト・シャマラン)

確かに少年ジャンプ的な楽しさもあったけど、ジュヴナイル映画としては子どもなめすぎだとおもう。アバターとして重すぎる責任を背負わされた少年アンのなんともいいようのない悲壮感がいい。役割を求め、役割に怯える人々の姿もシャマラン的なのだが、今回…

『バッド・ルーテナント』(ヴェルナー・ヘルツォーク)

今年見た映画の中でも屈指のお気に入りなのだが、なかなかその魅力を言葉できなかったので、DVDで再見した機会にいくつか書いておきたい。ニコラス・ケイジ演じるテレンス・マクドノーは、表向きは優秀な警官だが重度の薬物常用者でもあり、証拠品を横領した…

『インセプション』(クリストファー・ノーラン)

小さいころ「ノンマルトの使者」や「ベロクロンの復讐」に触れた者にとって、『ダークナイト』などまだまだ手ぬるいわ、というのが私の意見である。といいつつ、犯罪活劇としての『ダークナイト』に抗いがたい魅力があるのも事実。血肉湧き踊る銀行強盗のシ…

『トイ・ストーリー3』

もう上記の写真を見つめているだけで泣けてきてしまうわけだが…。いや、本当に脱帽しました。『トイ・ストーリー』の第一作は私が10歳の頃に公開された。私の場合、出会い方が少し特殊で、映画館に足を運んだのではなく公開時に発行されたノベライズ本を読ん…

『アウトレイジ』

北野武久々のバイオレンス映画に期待する一方、男たちの顔が画面いっぱいに映し出され「バカヤローコノヤロー」と叫んでばかりいる予告編を見て不安もあった。結論からいえば、原点回帰にとどまらず新しいフェーズに突入した快作といえそうだ。水道橋博士が…

『アイアンマン2』

おもしろすぎ。『ダークナイト』や『スパイダーマン2』のようにドラマ面において前作よりも飛躍的な向上を見せる、ということはまったくなく(笑)でも、そういうところに『アイアンマン』ならではのチャームがあるとおもうんだよね。いろいろ詰め込みすぎ…

『告白』

中島哲也監督作品。騒然とした教室の中で、愛娘を殺された教師・森口悠子(松たか子)が、淡々と自らの復讐の意志を語り始める。タイトルからもわかるようにこの物語はとある事件をめぐる関係者の告白形式を主軸としており、そもそもが小説というフォーマッ…

オールタイムベスト映画

あと数時間で私はまた年をひとつとる。25歳。25歳というと、もう結構な大人という感じであり、24歳と25歳の間には中1と中2くらい大きな隔たりがあるとおもう。いつまでも現実離れなことばかり口にしているとちょっと惨めで痛々しくなってくる頃で…

Scott Pilgrim Vs. The World

エドガー・ライト新作。アメリカ資本では初めてなのかな。ユニバーサルえらい。カナダのグラフィックノベルが原作なのだそう。アマチュアバンドでベーシストをしている冴えない主人公スコット・ピルグリムが、エキセントリックな風貌の少女ラモーナに一目惚…

『ローラーガールズ・ダイアリー』

ここにはすっかり書きそびれてしまったけど、ジャック・ロジエの『オルエットの方へ』というものすごい傑作があり、見た人はおわかりかとおもうが、ほんとうにすごい。160分くらいひたすら女の子がきゃっきゃ言っているだけの映画で、もう本当にきゃっき…

『戦闘少女 血の鉄仮面伝説』

3角マークの東映映画に、3人の美少女を主役に迎え、3つのチャプターを3人の監督がそれぞれ演出している。エンディングテーマを歌うのは3ピースガールズバンドのnoodles。もうほとんど信仰にも近い「3人組」へのオブセッションがこの映画をドライヴさせ…

『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』

一応先に言っておくと、私はジョニー・トー作品の作家性に対しては適度な距離感をもって見ている。単純に好みの問題で、私はペキンパーやアルドリッチの映画にもあまり感情移入できないたいへんなオトメ心の持ち主なのだ。ただ、こうした前提を踏まえても、…

『川の底からこんにちは』

上京して5年目の佐和子(満島ひかり)は、大したことない職場で働き、大したことない彼氏(子持ち)と付き合い、大したことない毎日を送っている。佐和子は自身のことを「中の下」であると評価しているのだが、この「中の下」という言葉が映画全体を方向付け…

『ウルフマン』

ゴシックな衣装と舞台立て、手抜きのない人体破壊、フリークスへ変貌していく男の苦悩、ロマネスクな世界を盛り上げるダニー・エルフマンの音楽などなど、私たちがティム・バートンの映画に求める要素の大半は、『アリス・イン・ワンダーランド』ではなくな…

smoke lover

『運命のボタン』

今回は結末に触れているので注意してください。日常生活でいろいろと悩みも多い夫婦のもとにひどい火傷で顔が半分くらい抉れている初老の紳士が訪ねてくる。彼は大きなプッシュ式ボタンのついた箱型の装置を差し出し、押してみないかと持ちかける。そのボタ…

龍馬の野望

この5月連休で長崎の実家に帰った。今回は私の彼女もついてくることになったので、いつもなら実家でぼーっとDVDなど見ているところを案内がてら市内をいろいろと見て回ったりもした。私の実家はグラバーさん家やオランダ坂のすぐ近くであり、要するにわり…

Jamiroquai

『アリス・イン・ワンダーランド』

ティム・バートンが「アリス」を映画化するという出来すぎた話を一年以上前に聞いたときは、いまいち現実感が湧かなかったものだが、本当に公開となった。今回は2DとIMAX3Dの両方を見たが、個人的にはIMAX3Dを推したい。バートンは、はじめから今回の映画を3…

『第9地区』

公開前から傑作らしい、と鳴り物入りであった『第9地区』は、フェイクドキュメンタリー形式といういかにも今日的な体裁をとりながらも、どこかなつかしい感触すらある正統派のSFアクションであった。28年前ヨハネスブルク上空に突如巨大な宇宙船が出現する…

『スイートリトルライズ』

矢崎仁司の新作。前作、『ストロベリーショートケイクス』では、ほとんど偽悪的とすらいえる表現で「現代の女性たち」を切り取ってみせた。意図して記号化されたキャラクターたちは即時的に陳腐化していく運命にある、ともいつか書いたとおもう。『ストロベ…

『シャーロック・ホームズ』

ガイ・リッチー監督がロバート・ダウニー・Jrを主演に迎え、いまさら「シャーロック・ホームズ」を映画化するという。シャーロック・ホームズといえば、インバネスコートに鹿撃ち帽、大きく曲がったパイプといったアイテムが自然と連想されるとおもうのだが…

『プリンセスと魔法のキス』

昨年の『ボルト』の健闘ぶりからもかなりの手応えを感じてはいたが、ディズニー久々のセル画アニメーションは、次なる黄金期の幕開けを告げる堂々の大傑作となった。マスカーとクレメンツのコンビは、80年代末にあのすばらしい『リトル・マーメイド』をもの…

『ラブリーボーン』/『インビクタス/負けざる者たち』

時間がないので、ざっと書き留めた感想をつらつらと。ほかにもいろいろ見たのだが、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』については原作を読んでからいずれ感想を書くかもしれない。書かないかもしれない。結局、ジャック・ロジエのことで頭がいっぱいなのである。 …