Devil's Own

cinema, music, book, trash and so on...

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(入江悠)

2010 『SR サイタマノラッパー』(以下『SR』)最大の特徴といえば、俳優を極度に追い詰めるワンシーンワンカットだろう。こうした手法が映画における気まずさ、居たたまれなさの表現に絶大な効果を発揮していたことは確かだが、『SR』はほぼ全編がワ…

『幻の女』(ロバート・シオドマク)

"Phantom Lady"1944 ウィリアム・アイリッシュの原作が書かれたのは42年なのでわずか2年後の映画化ということになる。アイリッシュの原作は中学生のときに読んだ。ニューヨークを舞台としたノワール色の強い探偵小説で夢中になって読み、終盤であっけなく明…

『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(ジョー・カーナハン)

"The A-Team"2010 タイトル末尾にTHE MOVIEをつけるのは書いててもちょっと恥ずかしいなあ。からっと風通しのいいアクション映画でしたよ。良作。『M:i:III』は降板させられてしまったが本作を見るとカーナハンもなかなか力量がある人だとおもう。エイブラム…

『マイ・フェア・レディ』(ジョージ・キューカー)

"My Fair Lady"1964 ヒッチコックが、キム・ノヴァクをグレース・ケリーへ変身させる狂気に駆り立てられたように、キューカーもまた女性を変身させるというオブセッションにとらわれた作家だ。『マイ・フェア・レディ』は、『男装』や『ボーン・イエスタディ…

『シルビアのいる街で』(ホセ・ルイス・ゲリン)

"Dans La Ville de Sylvia"2007 六年前に出会ったシルビアという女性の姿を探し彷徨う青年が、カフェで見つけたそれらしき女性を執拗につけまわし、ようやく話しかけたが人違いでした、という話。本当にそれだけの話。ストーリーはほとんどないに等しいが、…

『ベスト・キッド』(ハラルド・ズワルト)

"The Karate Kid"2010 いじめられっ子が格闘技の訓練を積みリベンジを果たす、という少年ジャンプ的ストーリーはそのままに、舞台を北京へ移し空手はカンフーへと変更された。なぜかタイトルは"The Karate Kid"のままだが内輪では"The Kung-Fu Kid"と呼称さ…

『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』(高畑勲)

2010 テレビシリーズの6話までを劇場用に再編集。主題歌やタイトルテロップなどもしっかり入っていて、世界名作劇場の感覚が再現されている。ほんと素晴らしかった。「赤毛のアン」は私の母親のバイブルだからね。私はマザコンなので、アンが幼少期の母親に…

『ナッシュビル』(ロバート・アルトマン)

CS

"Nashville"1975 数年前のPFF特集上映以来。登場人物が多すぎて追いきるのに精一杯だったのでもう一度見られてよかった。

『借りぐらしのアリエッティ』(米林宏昌)

2010 人間の日常が、小人の目を通して見た世界へと見事に異化されている。物語に起伏がなく、アリエッティと病弱な少年のゆるい交流にほとんどが割かれている。彼らの邂逅は周囲の世界を壊滅的にまで歪めてしまう、といえば、『崖の上のポニョ』の変奏といえ…

『ヒックとドラゴン』(クリス・サンダーズ、ディーン・デュボア)

"How To Train Your Dragon"(2010) まったく関係のない話から始めると、山田詠美の小説に「ぼくは勉強ができない」というのがあるよね。あれには本当にいらいらした。何、その言ってやったぜ感は!高校生が「ぼくは勉強ができない」なんて言っても全然リスキ…

『血とバラ』(ロジェ・ヴァディム)

CS

前々から見たかった「吸血鬼カーミラ」の映画化。どすけべヴァディムのすかした変態性が遺憾なく発揮されている。私の中でヴァディムは、よくも悪くも典型的なフランス人であり、洗練のなかにもつねに軟派な感性が入っているところなんかは割と好きだ。閉ざ…

『座頭市あばれ凧』(池広一夫)

CS

7作目。ヤクザの清六に鉄砲で撃たれ川に転落した市は、花火師の久兵衛らに助けられ、恩に報いるため津向の文吉(香川良介)の宿を訪ね、わらじを脱ぐ。津向の文吉(香川良介)は富士川の川渡しを良心的に取り仕切っていたが、事業の横取りを企む対岸の竹屋の…

『ソルト』(フィリップ・ノイス)

アンジェリーナ・ジョリーというジャンル映画。ほとんどセガールなみに強靭な肉体に加え、主人公のスパイとしての立場が二転三転するためにまったく感情移入させず、ただただアクションのみで押し切る。基本的にはボーンシリーズ以降のスパイ映画の佇まいだ…

『エアベンダー』(M・ナイト・シャマラン)

確かに少年ジャンプ的な楽しさもあったけど、ジュヴナイル映画としては子どもなめすぎだとおもう。アバターとして重すぎる責任を背負わされた少年アンのなんともいいようのない悲壮感がいい。役割を求め、役割に怯える人々の姿もシャマラン的なのだが、今回…