Devil's Own

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ロマンポルノ再入門3―VIVA LA 谷ナオミ

 電車の中にある、日本版ローリング・ストーン誌の中吊り広告は毎回イタくて面白い。なんだよ「ロックな顔を作る」って笑。こういうの読んでる人って下北沢とか高円寺の古着屋とか行くんだろうなぁ。しかも自分達をマイノリティーと思っているんだろうなぁ。
 「題名のない音楽会」で羽田健太郎の追悼特集をやっていて、ルグランと羽田が「シェルブールの雨傘」を実に楽しいそうにプレイしているのをみていい気分になった。家を出るといい感じに雨が降っていて、小沢健二とかを口ずさんでしまう気持ちのよさだった。

6月9日
桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール』 公開:1978年 監督:小原宏裕
 全編のドライブ感がたまらない。やはりいがみ合った女の子二人のロードムービーというのは自分にとってたまらなく魅力的なモチーフなのだと思う。腹が立つほどの裕子の凡庸なキャラクターさが楽しい。こういう女多いよなと思う。
恋人たちは濡れた』 公開:1973年  監督:神代辰巳
 曽根中生による名作「わたしのSEX白書 絶頂度」が「ライ麦畑でつかまえて」を題材としているのは明らかだが、僕としてはこちらのほうが「ライ麦」っぽいなと思う。「絶頂度」の方が映画としては好きだけれど、「絶頂度」における主人公の弟の青年を更に虚無的にした上でフォーカスしたものが、この映画ではないのかと思う。ラストの悲壮感がよい。自分から去っていく若い恋人を恥を捨てて追いかける熟女・江沢萌子が可愛い。しかしながら主人公と海岸で交わる女優さんがあまりに不細工過ぎて気持ち悪くなってしまった。

6月10日
『㊙女郎市場』 公開:1972年 監督:曽根中生
 最高。
『花芯の刺青 熟れた壺』 公開:1976年 監督:小沼勝
 谷ナオミは最強。神代監督の「黒薔薇昇天」*1を見て以来谷ナオミに惚れすぎている。可愛いしカッコいいし美しいし妖艶だし、彼女こそが聖母にも娼婦にもなれる本当のマリアだぜと、テンションに任せて書く。谷ナオミは「花と蛇」を始めとして、所謂M女のイメージが強いから、本作後半のような積極的な女性像は結構新鮮だ。モチーフは言うまでもなく、谷崎の「刺青」で、彫士を演じる蟹江敬三の取り憑かれたような演技も素晴らしかった。義理の娘と恋人が交わるのを見ながら中二階で自慰に耽る谷ナオミを俯瞰で捉えたシーンはあまりに有名だけれど、個人的には隙間から覗き込むような小沼監督の演出が好きで、冒頭の和室のシーンとか最高にエロいぜ。
 どうでもいいが僕にとって蟹江敬三は円盤生物ブニョの印象がトラウマ的に強すぎる。
『鍵』 公開:1974年 監督:神代辰巳
 相米慎二の「ラブホテル」が上映中止になってしまい。意図せずして谷崎的作品が続くことになったのはよかった。荒砂ゆきが、全然原作の女性像のイメージと乖離が激しすぎてちょっと辛いものがあった。1時間半も熟年夫婦のポルノを見るのはちょっときつい。谷ナオミは別だよ!

 明日で、ていうかもう今日で22歳になります。22歳のDieSixxをよろしくお願いします。
 明日は何にもないので、「選挙」「ロマンポルノ」「ルビッチ」「大日本人」と梯子しようかと思う。
 記号論のレポがめんどいよ。

*1:岸田森怪演!