Devil's Own

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「Magical Mystery Tour」「Past Masters」

MAGICAL MYSTERY TOUR

MAGICAL MYSTERY TOUR

Past Masters

Past Masters

 聴けば聴くほど惚れ惚れするビートルズのリマスターシリーズ。今回はこの2枚。どちらもオリジナルアルバムというよりはコンピ盤といった性格が強いのだけれど、早々に「Past Masters」を買うことは邪道ではない。「Let It Be...Naked」の悲惨なリミックスに激怒して以来、どんなにこの曲の正当なリマスターを待ち焦がれていたことだろう。ヨーコへの苛烈な慕情と懇願、恋に落ちたときのあの意味のわからない全能感を恥ずかしげもなくぶちまけるレノンのボーカル。やっぱりどう考えてもトゥーマッチなマッカートニーのコーラスとベース。そしてプレストンの美しいキーボードの旋律。バンドは死に際にあってもなお世界で一番だと確信してやまない最強のラヴソング。「Don't Let Me Down」。これに尽きる。
 最近ビートルズ好きの友達に指摘されて気がついたのだけれど、「Magical Mystery Tour」は、レノンとマッカートニーのボーカルパートが前半と後半で入れ替わっている。アルバム自体は、ふたりの創作性が明らかに別々の方向へ向かいつつあることを露呈してしまっているのだけれど、こういうことやったりするからあの二人にはしびれるんだよなぁ・・・。
 渋谷のタワーレコードでリマスター盤のステレオ、モノラルを聴き比べできるコーナーが設置されており、3時間近くも居座ってしまった。ステレオで聞こえる音がモノラルでは聞き取れなかったりもするのだけれど、ヘッドホンで聞いたときの心地よさはモノラルは格別にすばらしい。特に初期3枚に関しては、完全にモノラル盤に軍配が上がる。「タックスマン」や「ペイパーバック・ライター」などパンニングが極端な楽曲も僕はモノラルのほうが好きだ。もうこれは躊躇している場合ではない。モノ・ボックスを購入しよう!と意を決して、店員に尋ねたところやはり入荷は未定なのだそう。一縷の望みを託して一応予約する。