オンガク雑誌なんていらない―サブカル系アイコンとして回収されるパフューム
- 作者: Perfume さまぁ~ず銀杏BOYZ
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2007/10/12
- メディア: 単行本
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そうした動きに比べ、パフュームがQJの表紙を飾るなどなんと退屈で予定調和なことだろうか。下北沢のヴィレッジヴァンガードに大量に平積みされる様子が目に浮かぶようだ。こうして、サブカル向けアイコンへと見事に回収されていったパフューム。複雑な楽曲構造と、それに相反する「中身のない」或いは「アイドル」的なリリック、無記号化を更に推し進めたヴォーカルエフェクト*2など、徹底した非人間志向が過去最高に極まった「ポリリズム」が、ヒットしたことはある意味事件だったと思う。しかしこうした音楽は恐らくこれからどんどん模倣され、量産されるであろうし、パフュームにしてもこれから同じような曲をリリースし続けるに違いない。テクノポップの方向性としては「ポリリズム」はもう臨界点だろう。
「アーティスト」としての立場を得ようとする浜崎あゆみや倖田來未のストラテジーは、「アーティスト」の「アイドル」に対して優越性に依拠している、『アーティストはアイドルよりもスゴい』、こうした一般的認知が存在するが故に、彼女達はせっせと曲を書き、「アーティスト」の沢山いる雑誌やロックフェスに積極的に身を投じるのである。パフュームという「アイドル」は、こうした優越性へのアンチテーゼだった。中田ヤスタカの作った曲たちがどんなに複雑で、テクノロジックであったとしても、あくまでパフュームはアイドルであることに意味があった。与えられた曲を楽しく、可愛く歌うことが最優先なのだ。だから当然のようにライヴでは口パクだったし、でも可愛いからオールOKだ。そして彼女達の楽曲の最高傑作は、「チョコレイト・ディスコ」でも「ポリリズム」でもなく、「おいしいレシピ」に間違いない。*3だのにどうして、QJの表紙なんてやってるんだ。これには、彼女達を「アーティスト」として尤もらしく分析したテキストが寄せられているに違いない。インタビューで彼女達は、そんな編集意図はおかまいなしに、見当はずれなことを言っているだろう*4。そこを楽しむほかない。ま、ちゃんと読んでいないのでなんともいえないが。
snoozer (スヌーザー) 2007年 12月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: リトル・モア
- 発売日: 2007/10/18
- メディア: 雑誌
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とはいえ、今号のスヌーザーには愛すべき僕らのピペッツのインタビューが掲載されていて、この数ページのために買う価値がある。ピンナップかポストカードのようなキュートな写真をが彩る見開きが最高で、ぱらぱらとめくっただけでもそのページを開いてしまうし、インタビューではU2をこき下ろすという傲慢な発言を噛ましている。ビョークが好きだったのはちょっと残念だったが、まぁいいとしよう。結婚してくださーい。