Devil's Own

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R18 LOVE CINEMA SHOWCASE vol.4

・「ヒロ子とヒロシ(痴漢電車 びんかん指先案内人)」(加藤義一)
・「再会迷宮(不倫同窓会 しざかり熟女)」(竹洞哲也)

 前回の竹洞哲也監督特集がえらいよかったので今回も行ってまいりました。「ヒロ子とヒロシ」は、成人館公開時から方々のブログでよく見かけたし、真魚さんがレヴューを書いていたこともあったのでこれは見たいなと。一緒に言った友人に言われて気がついたけど期せずしてどちらもサーモン鮭山の出演作だった。サーモンさんは勿論よかったんだが、もう一人竹洞監督作常連の松浦祐也が完全に壊れていて最高だった。今度からはこの二人を中心に見ていこうねと友人と確認した。
 特集は「ピンクに映る オンナとトキメキ」だそうで、どちらも女性を物語の主軸に据えた物語だった。男子が女性に対して抱くある種の幻想・偶像崇拝的なファンタジーとしてのポルノというよりも、現実感を持った「女性」の描写に重きを置いた作品だったように思う。
 「ヒロ子とヒロシ」における「痴漢」という行為を通して心を通わせる顔も見知らぬ男女という設定は、男性的なファンタジーなんじゃないの?という感じがするが、この作品の場合「痴漢」という行為はむしろ双方向的な性格が強い。極限的な自己憎悪とニヒリズムに嵌ってしまった二人の男女が互いの存在を受容し合う行為としてのたまたま「痴漢」が選ばれたに過ぎない。お互いが相手の顔を見ようとしないことからもわかるように、この行為はあくまで無名の存在の対等関係に基づいて行われている。犯罪行為としての「痴漢」とは別物であって、これを肯定するものでもない、わけでした。僕は映画における説明的なモノローグがあまり好みではないので、そこまで賞賛はしないまでもストーリーや演出は面白く飽きさせない好編でございました。
 「再開迷宮」は監督・竹洞哲也、脚本・小松公典の真骨頂とも言える心地よい人間ドラマで、松浦佑也演じる鷹匠見習い青年やサーモン鮭山演じるニューハーフなど、完全な変態すらも自然と物語に溶け込ませる懐の深さに心和まずにいられない。どこまでも続きそうな畦道やだだっ広い田園の中のバス停など、ロケーションもよい。好きに決まってらーーーー。
第5回が早くもあるそう。