ねないこだれだ
- 作者: せなけいこ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1969/11/20
- メディア: ハードカバー
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ねないこの行く末に戦慄する一方、おばけの世界に連れて去られるという想像にも魅かれたものだ。おばけ、ふくろう、くろねこ、どろぼう・・せなけいこのラフで愛らしい切り絵で表現された「夜の住人たち」は甘い死の匂いを伴って幼い僕を誘惑した。恐怖って、ファンタジーが幼い子を惹き付ける条件として重要なファクターであり、その筆頭として挙げることができるのが「微かな死の匂い」と「両親との別離」だと思うのだがどうだろうか。『ふしぎの国のアリス』、『となりのトトロ』、『ネバーエンディング・ストーリー』。この3本は、僕が幼少時に特に好んで繰り返し見ていた子ども映画だが、よくよく考えるとこの3本には先述した二つの要素が巧みに織り交ぜられている。死の匂いは希薄だが、『崖の上のポニョ』にも後者のイメージはより暗示的に、より色濃く刻み付けられていて、宮崎駿変わってないなぁと感心した。ハリウッドで未だそれを実践し続けているのはやはりティム・バートンだと思うが、そういうわけで彼が監督する『不思議の国のアリス』はまだ見ぬ僕の子どもにとって重要なものになるだろう、と期待している。