Devil's Own

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『贖罪(#2.PTA臨時総会)』(黒沢清)

"Shokuzai(ep.2 Extraordinary General Meeting of PTA)"2012/JP

 第1話ではまだまだ判断材料が少なかったが、2話は掛け値なしに傑作と言ってしまっていいのではないか。15年前の事件に居合わせた4人の少女のうち、最も責任感の強かった優等生真紀(小池栄子)は成長し小学校の教師になったが厳格で杓子定規的な指導方針から上司や保護者からの風当たりが強い。全編徹底した無表情、無感情を貫く小池のキャラクター造形に傑作『接吻』(万田邦敏)を連想する人も多いだろう。「あの子たちは自分たちが着飾って男の人の気を引くことがどんなに危険なことか自覚していない」と語る小池当人が自身の突出した肉体性に無自覚であるという皮肉。前回の蒼井は自身の女性性を遠ざけながら女性性にからめとられていったが、小池が事件を通して対峙するテーマは暴力といえるだろうか。15年前に被害者の母親(小泉今日子)と交わした「贖罪」の約束を重く受け止めている小池は、自分自身も暴力をふるうことで約束を果たそうとし、やがて暴力に敗北していく。だいいち、学校という舞台が既に呪われた暴力空間である。小池が暴力を発動させるプールのまがまがしさはどうだろう。第1話の海もすごかったが、黒沢清の映画の中の水はどうしてこうも不吉なのか。贖罪と赦しがまっとうされたと見せかけて不意打ちで暴力が報復してくる終盤の展開もすばらしい。引きの画でとらえた殴打、横たわる小池の肉体、鳥、鼻血・・・すべてがまがまがしい。本当容赦ないですね。第2話だけどたぶんこれが最高傑作だろうな。この緊張感更新されたら鼻血出す。