Devil's Own

cinema, music, book, trash and so on...

映画

『ミックマック』(ジャン=ピエール・ジュネ)

"Micmacs à tire-larigot"2009 『アメリ』はあまりに表層的な見方ばかりされているのと、前作『ロング・エンゲージメント』がわりと微妙だったことも相まってしばらくジュネには距離を置いていたのだが、『ミックマック』は初期作にあった廃物フェチ、大道芸…

『仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ』(坂本浩一)

2010 『仮面ライダーW』(以下『W』)は気がついたときに見るくらいだったのでそこまで熱心な視聴者ではなかったが、コメディの配分やテンポもよかったし毎回わりと楽しくみていた。今回の劇場版は、本編ドラマのクライマックスを盛り上げつつイベント映画…

『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(入江悠)

2010 『SR サイタマノラッパー』(以下『SR』)最大の特徴といえば、俳優を極度に追い詰めるワンシーンワンカットだろう。こうした手法が映画における気まずさ、居たたまれなさの表現に絶大な効果を発揮していたことは確かだが、『SR』はほぼ全編がワ…

『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(ジョー・カーナハン)

"The A-Team"2010 タイトル末尾にTHE MOVIEをつけるのは書いててもちょっと恥ずかしいなあ。からっと風通しのいいアクション映画でしたよ。良作。『M:i:III』は降板させられてしまったが本作を見るとカーナハンもなかなか力量がある人だとおもう。エイブラム…

『シルビアのいる街で』(ホセ・ルイス・ゲリン)

"Dans La Ville de Sylvia"2007 六年前に出会ったシルビアという女性の姿を探し彷徨う青年が、カフェで見つけたそれらしき女性を執拗につけまわし、ようやく話しかけたが人違いでした、という話。本当にそれだけの話。ストーリーはほとんどないに等しいが、…

『ベスト・キッド』(ハラルド・ズワルト)

"The Karate Kid"2010 いじめられっ子が格闘技の訓練を積みリベンジを果たす、という少年ジャンプ的ストーリーはそのままに、舞台を北京へ移し空手はカンフーへと変更された。なぜかタイトルは"The Karate Kid"のままだが内輪では"The Kung-Fu Kid"と呼称さ…

『赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道』(高畑勲)

2010 テレビシリーズの6話までを劇場用に再編集。主題歌やタイトルテロップなどもしっかり入っていて、世界名作劇場の感覚が再現されている。ほんと素晴らしかった。「赤毛のアン」は私の母親のバイブルだからね。私はマザコンなので、アンが幼少期の母親に…

『借りぐらしのアリエッティ』(米林宏昌)

2010 人間の日常が、小人の目を通して見た世界へと見事に異化されている。物語に起伏がなく、アリエッティと病弱な少年のゆるい交流にほとんどが割かれている。彼らの邂逅は周囲の世界を壊滅的にまで歪めてしまう、といえば、『崖の上のポニョ』の変奏といえ…

『ヒックとドラゴン』(クリス・サンダーズ、ディーン・デュボア)

"How To Train Your Dragon"(2010) まったく関係のない話から始めると、山田詠美の小説に「ぼくは勉強ができない」というのがあるよね。あれには本当にいらいらした。何、その言ってやったぜ感は!高校生が「ぼくは勉強ができない」なんて言っても全然リスキ…

『ソルト』(フィリップ・ノイス)

アンジェリーナ・ジョリーというジャンル映画。ほとんどセガールなみに強靭な肉体に加え、主人公のスパイとしての立場が二転三転するためにまったく感情移入させず、ただただアクションのみで押し切る。基本的にはボーンシリーズ以降のスパイ映画の佇まいだ…

『エアベンダー』(M・ナイト・シャマラン)

確かに少年ジャンプ的な楽しさもあったけど、ジュヴナイル映画としては子どもなめすぎだとおもう。アバターとして重すぎる責任を背負わされた少年アンのなんともいいようのない悲壮感がいい。役割を求め、役割に怯える人々の姿もシャマラン的なのだが、今回…

『インセプション』(クリストファー・ノーラン)

小さいころ「ノンマルトの使者」や「ベロクロンの復讐」に触れた者にとって、『ダークナイト』などまだまだ手ぬるいわ、というのが私の意見である。といいつつ、犯罪活劇としての『ダークナイト』に抗いがたい魅力があるのも事実。血肉湧き踊る銀行強盗のシ…