Devil's Own

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気温も懐も寒い

 

怪奇十三夜 第四回 妖怪血染めの櫛 [DVD]

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怪奇十三夜 第一回 怪談累ヶ淵 [DVD]

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変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)

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 毎日グレープフルーツジュースを飲んでいれば風邪を引くことはないと頑なに信じている。風邪気味のときだって、がぶ飲みしていたら本当に調子が良くなるのだ。思い込みかもしれないけど、いや、多分思い込みだけど。
 帰りに、CDショップをうろうろしていたら、「怪奇十三夜」のワンコインDVDが置いていて、先日オールで見た中川信夫がよかったしと2本買ってしまった。その後本屋で「文学界」とカフカの新訳のを買って、お金がないことに気がつく。僕は本当にやせ細っているが、そんなに小食なわけでもなく、でも少ない量でも暮らしていけなくはないので好きなもの買ったり、映画観たりするためなら余裕でご飯を我慢する。男の子は、目的の為にご飯抜けるけど女の子にはそれができないんだよね、とよく聞く。さっきのグレープフルーツジュースもそうかもしれないが、男の子が頑なに信じていることなのに女の子には馬鹿馬鹿しい神話だとか、男の子は当然のことのようにやっていることが女の子には到底信じがたい言動であったり、そういうことは結構多い。勿論逆も然り、だと思う。今日偶然昔の恋人に会って、色々お話したけど、とりあえず「恋は楽しいから今のうちやっとけ!」みたいなお話で、いやいや、もういいっすよ、みたいな返事をした。
 家帰って、茹でたうどんを食べながら「怪奇十三夜」を見るのが、それはそれは至福だったのだが、そういう幸福は多分普通のコンサバな女の子にとっては不幸に映るのだろうなと思う。いや!間違いなくすごく不幸だぞ!
 ところで「怪奇十三夜」第4回「血塗りの櫛」は、怪談映画のお約束を素直に踏襲する作りではあるが、途轍もなく面白い。真山知子が櫛を加えて挑発するシーンや蟹江敬三と酒井修が汗まみれで乱闘する長回しのシーンなど、恐怖パート前にも秀逸な演出が続出し大興奮した。終盤の家篭りになってようやくこの物語が「雨月物語」の一編「吉備津の釜」の映像化であることに気がついた。観終わった後で、原作を読み直すと、登場人物の名も同一で、「磯良(いそら)」は「いよ」とも読めるし、どうして気がつかなかったのだとも思うが。それでもこの物語で重要なアイテムとなっている「櫛」の存在はオリジナルのもの。美しく、一方で鋭利な「櫛」という存在がいよの怨念を巧みにシンボライズしている実に秀逸な演出だったと思う。
 カフカの新訳を少し読んでみたけど、結構読みやすい。